語尾が消えるクセ『です・ます』の『す』で息が抜ける対策
ナレーションや朗読で多くの人がぶつかる壁の一つ、『です・ます』などの『す』の処理問題です。
これは長年、私自身も悩まされていました。
その時に研究した内容も含めて具体的な方法を書いていこうと思います。
【目次】
1. 「です・ます」の「す」は最後まで届ける
「です・ます」の最後の「す」は、発声の中でも特に難しい部分です。
「す」は無聲音になりやすく、息だけで終わってしまうため、音が消えやすい特徴があります。その結果、
- 「ありがとうございま……」
- 「そう思いま……」
のように聞こえてしまうことがあります。
逆に、「す」を意識しすぎると、
- 「ありがとうございまス!」
のように強すぎて不自然な印象になります。

これができないとプロとしては、表現の幅が狭まってしまいます
意識すること
- 最後の一文字まで息を残す。
- 「す」を強く言うのではなく、自然に音を届ける。
- 文末で声を抜かない。
- 文頭で息を使い切らない。
2. 「す」の練習方法
① 伸ばして感覚を覚える
まずは音を消さない感覚を身につけます。
- すーーー
- ますーーー
- ですーーー
慣れてきたら、
- ますー
- ます
- ます。
と少しずつ自然な長さへ戻していきます。

「ですーー」は「ですううううううう」という感じに伸ばすイメージです!
② 一度だけ有声音で練習する
普段「す」が消えてしまう人は、
- です
- ます
- 思います
の「す」を少しだけ声に乗せて発音してみます。
本番でそのまま使うのではなく、「最後まで音を届ける感覚」を身につけるための練習です。
③ 「ま」を響かせる
「ます」の「す」だけを意識すると力んでしまいます。
そこで、
ありがとうございます
の「ま」をしっかり響かせると、「す」も自然についてきます。
④ 語尾だけを反復する
苦手な部分だけ集中的に練習します。
例
- ます。
- です。
- 思います。
- しました。
- お願いします。
これを何十回も繰り返すだけでも、語尾の安定感は大きく変わります。
3. 母音をつぶさない
日本語は母音が非常に重要な言語です。
母音が曖昧になると、滑舌が悪く聞こえたり、聞き取りにくくなったりします。
例えば、
「ありがとうございます」
なら、
あ・り・が・と・う
という母音がすべて響いているかを意識します。
子音ではなく、母音を美しく響かせることが大切です。
4. 語尾まで息を支える
初心者によくあるのが、
「今日はいい天気です……」
と、最後だけ音量が落ちることです。
文章の最後まで同じエネルギーで届ける意識を持ちましょう。
5. 息継ぎは文章で考える
「、」があるたびに息を吸う必要はありません。
文章の意味を理解し、
「どこで一区切りなのか」
を考えながら息継ぎをすると、自然な読みになります。
6. 一文字ずつ読まない
初心者ほど、
わ・た・し・は・きょ・う……
のように一音ずつ区切ってしまいます。
実際は、
私は|今日|学校へ行きます。
というように、言葉のまとまり(文節・意味のまとまり)で読む方が自然で聞きやすくなります。
7. 文頭をはっきり出す
最初の一音が弱いと、
……ありがとうございます。
のように聞こえます。
最初の一文字を少し前へ飛ばすイメージを持つだけで、聞き取りやすさが大きく変わります。
8. 力まずに声を出す
大きな声を出しようとすると、
- 喉
- 顎
- 首
- 肩
に力が入りやすくなります。
声は力で押し出すものではなく、
息に声を乗せる
という感覚が理想です。
9. 録音して客観的に確認する
録音するときは、
「演技が上手かったか」
ではなく、
- 語尾が消えていないか
- 母音が響いているか
- 息の音が大きすぎないか
- 文頭が弱くないか
- 最後まで同じ音量で話せているか
- リズムが一定か
をチェックします。
録音は一番の先生です。
毎日3分のおすすめ練習
① 母音・語尾練習(1分)
- すーーー
- ますーーー
- ですーーー
各10回程度。
② 定型文を読む(1分)
- ありがとうございます。
- よろしくお願いします。
- おはようございます。
- そう思います。
- 承知いたしました。
語尾まで丁寧に届けることを意識します。
③ ニュース原稿を録音(1分)
ニュース原稿は感情よりも基礎が問われます。
確認するポイントは、
・母音
・滑舌
・語尾
・息継ぎ
・リズム
・音量
・文頭
・文末
この8項目だけでも十分です。
覚えておきたい考え方
発声や滑舌は、「大きな声を出すこと」ではありません。
最後の一文字まで、聞き手に自然に届く声を作ることが大切です。
派手な演技よりも、
- 母音がきれい
- 語尾が安定している
- 息が途切れない
- リズムが自然
この基礎ができている人ほど、「聞きやすい」「安心して聞ける」と感じてもらえます。
毎日少しずつ積み重ねることで、ナレーション、アニメ、外画、朗読など、どのジャンルにも通用する土台が身についていきます。
1. 声が遠くまで届かない
息が先に逃げるので、声のエネルギーが弱くなります。
例えば、
- 「おはようございます。」
- 「ありがとうございます。」
を言っても、空気ばかりが出てしまい、声が前に飛びません。
その結果、
- 小さく聞こえる
- ぼやけて聞こえる
- 存在感が薄くなる
という印象になります。
2. 滑舌が悪く聞こえる
息が多すぎると、子音がぼやけます。
例えば、
「かきくけこ」
が、
「はひふへほ」のように輪郭が曖昧になり、言葉が聞き取りにくくなります。
3. 語尾が消えやすい
これはさっき話した「です・ます」の「す」にもつながります。
息が漏れている人は、
- 思います。
- お願いします。
の最後が消えやすくなります。
4. 長い文章で息が続かない
息を無駄に使うので、
途中で息切れしやすくなります。
結果として、
- 不自然な場所で息継ぎをする
- 文末の音量が下がる
という癖につながります。
5. 声が疲れやすい
意外だけど、
息漏れの多い人は、たくさん空気を使うため、長時間話すと疲れやすくなります。
「喉を締めているから疲れる」のではなく、「息を無駄遣いしているから疲れる」ケースも少なくありません。
6. マイク乗りが悪くなる
声優やナレーションでは特に重要です。
息ばかり入ると、
- 「サー」という息の音が目立つ
- 声の芯が細くなる
- 音量を上げても迫力が出ない
という状態になります。
ただし、息が抜けることが悪いわけではない
演技では、あえて息を混ぜる表現もよく使われます。
例えば、
- 囁き
- 安堵した吐息
- 色っぽいセリフ
- 泣きそうな演技
- 疲れ切ったキャラクター
こうした場面では、息漏れが表現として効果的です。
大切なのは、「息が抜けてしまう」のではなく、「息を混ぜることを自分で選べる」状態になることです。
一番意識したいこと
発声の基礎では、
息はたくさん出すのではなく、必要な分だけ効率よく使う。
これができるようになると、声に芯ができ、遠くまで届きやすくなり、滑舌や語尾の安定感も向上します。演技の幅も広がるので、まずは「コントロールできる息」を目指すのがおすすめです。












