【考察】ロミオとジュリエットが幸せになる未来はなかったのか?を考えてみた
みなさん『ロミオとジュリエット』という物語をご存知でしょうか。
ウィリアム・シェイクスピアという、イギリスのルネサンス演劇を代表する戯曲家が書いた名作です。
シェイクスピアは他にも「リア王」「ハムレット」「夏の夜の夢」「十二夜」「マクベス」「オセロー」「ヴェニスの商人」など多数の作品を残しています。
今回は、数々の舞台で演じられてきた戯曲『ロミオとジュリエット』について、「二人が幸せになる未来はなかったのか?」をいくつかの視点から考えていきたいと思います。
【目次】
ロミオとジュリエットの簡単なあらすじ
大貴族のモンタギュー家とキャピュレット家はお互いに敵視し合うほど仲が悪く、そんな両家に生まれたのがロミオとジュリエットです。
ロミオはもともと片思いしていた別の令嬢に振り向いて欲しくて、彼女が参加するというキャピュレット家のパーティーに忍び込みます。
しかし、そこで出会ったキャピュレット家の令嬢・ジュリエットとお互いに一目惚れし、激しく惹かれ合うことになります。
そんななか、両家のいざこざの結果としてロミオの友人であるマキューシオが亡くなります。
ロミオはその復讐として、ジュリエットの従兄であるティボルトを殺してしまい、その罪で街から追放処分を受けます。
ロミオを失い悲しんでいるジュリエットに対し、事情を知らない父は別の婚約者との結婚を迫ります。
すでにロミオと秘密裏に結婚(婚約)をしていたジュリエットは、この婚姻を拒むために、神父の提案で「仮死状態になる毒薬」を飲みます。
計画通り仮死状態になることには成功したものの、「ジュリエットは死んでいない」という真実の伝令がロミオに届きませんでした。
本当にジュリエットが死んでしまったと信じ込んだロミオは、彼女の墓所で後を追うように毒を飲んで命を絶ちます。
その後、仮死状態から目が覚めたジュリエットは、すぐそばで息絶えているロミオを見て、自身も後を追ってしまいます。
二人の死を目の当たりにし、ようやく両家がこれまでの愚かないがみ合いを反省する、というお話です。
この事件はたった5日間の出来事
このすべての騒動は、出会ってからわずか5日間という極めて短い期間に起きた事件です。
まさに「花火のように一瞬で煌めき、そして燃え尽きる」ようなスピード感を持った物語です。
原作には明確な年齢の記述はないものの、一般的にロミオは15〜16歳ほど、ジュリエットは13〜14歳ほどの年齢と言われています。
お互いに初恋であり、10代前半特有の多感な時期の一目惚れだったことなど、さまざまな要素が重なったために、ここまで極端な結末へ突っ走ってしまったのでしょう。
最大の転換点:ロミオが追放されなければ
物語の一番の問題点は、「ロミオが街を追放されたこと」にあります。
ここさえなければ、ジュリエットは一人で無謀な計画を立てて戦う必要はなく、ロミオと共に状況と向き合うことができたはずです。
ロミオが激情に駆られて友人の敵討ち(ティボルトの殺害)さえしなければ、二人が引き裂かれることはありませんでした。
「目の前で親友を殺されて我慢できるのか」という意見もあるかもしれませんが、実はロミオが自分で手を下さなくてもいい明確な理由があります。
殺されたマキューシオは領主の甥(親族)であるため、復讐をしなくてもティボルトは街の法律によって厳罰に処されるはずだったからです。
ロミオの刑罰が本来なら死罪になるところを、追放で済んだのもこの背景があったからになります。
それにもかかわらず、なぜあの場で激情を抑えられなかったのか、読み返すたびに悔やまれるポイントです。
長所である「抜群の行動力」が裏目に出た
ロミオは非常に行動力のある、魅力的な男性として描かれています。
片思いの女性を一目見るために敵陣のパーティーに潜入したり、ジュリエットに会うために厳重な屋敷の塀を乗り越えたり、最後には彼女の後を追って毒を飲んだりと、その行動力は凄まじいものがあります。
これは間違いなく彼の長所であり魅力です。
しかし残念なことに、その高い行動力は「仇を討つ」という瞬間にも100%発揮されてしまいました。
一歩立ち止まって「仇を討たない」という選択ができなかったのは、皮肉にもこの行動力の高さが原因だったのかもしれません。
貴族の女性にとって「親の意見」が絶対だった時代
当時の時代背景として、ジュリエットが親の選んだ婚約者との結婚を拒むことは極めて不可能なことでした。
拒絶すれば、父親から「結婚が嫌なら家から出て行け」と勘当を言い渡されてしまいます。
わずか13歳ほどで、これまで何不自由なく守られて過ごしてきた貴族の令嬢が、1人で家を出て生きていくことは現実的に不可能です。
もし、家を出てロミオの追放先へ逃げるという選択ができていれば、仮死状態になるという危険すぎる賭けに挑む必要はありませんでした。
ただ、命を落とす危険のある薬を飲むほどの勇気があるのなら、すべてを捨てて家を飛び出す選択肢も持ててよかったのではないか、とも考えてしまいます。
そもそも両家の「いがみ合い」の理由は?
そもそも、根本の原因であるモンタギュー家とキャピュレット家の仲が悪くなければ、このような悲劇は起きていません。
しかし、戯曲をどれだけ読み返しても、この二大名門がなぜ対立しているのかという具体的な理由は一切書かれていません。
権力争いなのか、土地や資源の問題なのか、それとも忘れるほど過去の因縁なのか。
明かされていないからこそ、深く考えさせられます。
まとめ
今回いろいろと考察してみた結果、やはり「ロミオが追放されなければ、何とかなっていたかもしれない」という点が、一番大きな分岐点だったように感じます。
ただ、このすれ違いと救いのない悲劇の構造があったからこそ、この物語は今世紀まで世界中で語り継がれる不朽の名作となったのも事実です。
シェイクスピア作品をまだ読んだことがない、あるいは観たことがないという方は、ぜひ一度この機会に触れてみてください。










